【完全保存版】ボールパイソンの繁殖まとめ
ボールパイソン繁殖の全体の流れや注意点、ちょっとしたお役立ち情報をまとめました。経験と知識を詰め込んだ、完全保存版になります。
※この記事はブリーダーの方向けです。自らの許容量を超えてしまうような、みだりな繁殖はやめましょう。
繁殖の流れ
まず、全体の流れは下記のようになります。ただし、初産の場合は各期間に大きなズレが生じる場合もあります。
クーリング | 1週間ほどかけてゆっくりと温度を下げる。オスは餌を抜き、メスは食べるなら小さめの餌を与える。 |
↓ | |
ペアリング | オスとメスを同じケージに入れる。この時発情していれば指切りをする。 |
↓8〜16週間後 | |
排卵前脱皮 | 排卵前にする脱皮のことで、この前後がもっとも指切りをしやすい。 |
↓4〜8週間後 | |
排卵 | お腹の真ん中あたりがぽっこり膨らみ、36時間前後で元に戻る。 |
↓4〜8週間後 | |
最終脱皮 | 産卵前最後の脱皮のこと。排卵から約4週間〜8週間後に起こる。この時点で断面がスライム型のような体型になる。ここで完全に餌をストップする。(事前に自ら食べなくなることが多い) |
↓4〜6週間後 | |
産卵 | 最終脱皮から30〜40日後に産卵する。産卵前は完全にスライム体型になる。 |
注意すること
メスの場合
メスは命がけで卵を産まなくてはならないので、体重は少なくとも1500gまでは育てるのが好ましいとされています。
また、体重だけでなく年齢も大切です。1歳で2000gあっても産まなかったり全スラッグの可能性が高いのに対して、3歳以上で1200g程度あれば有精卵を3〜5個ほどは産んでくれたりします。
オスの場合
オスは性成熟していれば500gでも700gでも繁殖には使えます。年齢としては2歳以上だとなお安心です。
ただし、発情期間は拒食してしまう個体が多いため、半年にわたる指切りシーズンを乗り越えられるようにしっかりと育てておきましょう。何匹ものメスにかける場合は、1000g以上に育てておくと安心です。
また、クーリングをしない場合は極力オスにも餌を与えることをお勧めします。指切りにはかなりの体力が奪われますので、食べるようなら与えた方がいいです。
また、未成熟のオスでも指切りをすることがありますが、その場合産まれた卵がきちんと受精できておらず、早い段階で発生が止まってしまうことがあります。
クーリング
まず個人的な意見として、慣れていない人が行うにはリスクが高いため、クーリングはおすすめしません。
普通に飼育し、性成熟を迎えていれば、クーリングせずとも指切りをしてくれるケースが多いです。
それを伝えた上で、下記にクーリングの方法を示します。
クーリングの方法
ボールパイソンは通常27〜32度くらいの環境で生活しています。しかしこの温度のままだとあまり発情しにくい個体もいるようです(温度を下げなくても発情する個体が多いです)。
そこで、夜間の最低温度を25〜27℃くらいまで下げて、少し冷えてきたように感じさせます。これをクーリングと言います。
日中の温度は通常と同じか少し低いくらい(28℃〜30℃)にしましょう。
温度を下げる際は急に下げるのではなく、1週間ほどかけてゆっくりと下げていきます。
急に下げてしまうと、個体が風邪をひいたり体調を崩してしまいます。一度風邪を引いてしまうと、立ち上げるのはかなり難しいです。
クーリング中は風邪を引かせないように、湿度をいつもよりも高め(60〜65%)に保つことを意識しましょう。ただし、高すぎると菌が増殖しやすくなり逆に風邪を引きやすくなってしまうため、80%を上回らないように気をつけましょう。
オスは完全に餌を抜きます。1ヶ月くらいクーリングを続けると、本能的に子孫を残そうとするので、発情します。
メスは食べるようならあげて大丈夫ですが、温度を下げているので餌は普段よりもサイズを小さくしてください。消化不良や吐き戻しには十分注意してください。
ペアリング
準備が整ったら、ペアリングを行います。オスとメスのペアを一緒のケースに入れておき、交尾させることをペアリングと呼びます。
また、蛇が交尾することを「指切り」と呼びます。尻尾を巻きつけている様子が指切りに似ているからです。
また、メスとオスどちらのケースでペアリングするかについては、様々な意見がありますが正解はありません。一般的にはメスのケースの方が広い場合が多いので、メスのケースにオスをいれて、指切りしなければ次のメスのケースへ移動する方が効率がいいのかなと思います。
ちゃんと指切りが成功している場合は、オスの尻尾が下にあります。
指切りをしない場合
もし3日ほど一緒にしても指切りが確認できない場合は1度離して、また3日ほど経ったら一緒にしてみてください。少しの間離すことで、またお互いを意識させるためです。
また、脱皮の前後が一番かかりやすいです。どちらかが脱皮期間に入ったらチャンスだと思って、脱皮が終わるまでずっと一緒にさせておくのがおすすめです。
それでも指切りをしない場合は、他のメスの脱皮殻を入れてみてください。特に、オスが過去に指切りをしたことがあるメスがいれば、そのメスの脱皮殻をケースに入れておくと効果的です。
排卵前脱皮
ペアリングを始めて8〜16週間ほど経つと、排卵前脱皮というのをします。
しかし、実際は後になってから「あのときの脱皮が排卵前脱皮だったのか」と気が付くケースが多いです。ペアリングを開始したら、とりあえず脱皮の記録を全てメモしておくのがおすすめです。
排卵
排卵前脱皮から4〜8週間ほど経つと、排卵が来ます。排卵がくると、お腹の真ん中あたりだけが筒状に大きくボコッと膨れます。36時間ほどで元に戻ってしまいます。
膨れている部分は膨らみすぎて鱗が薄くなり、パンパンで曲がらないため伸びていることが多いです。
このとき、尻尾の方は細いことに注意してください。まれに糞尿が溜まってお尻の方までパンパンになっている状態を、排卵と勘違いする方を見かけますが、排卵の場合お尻はシュッとしていることが多いです。
最終脱皮
排卵から4〜8週間ほど経つと、最終脱皮をします。これが産卵前にする最後の脱皮になります。この脱皮はしっかり日付を記録しておきましょう。
最終脱皮を確認したら餌は完全にストップし、産卵に備えてインキュベーターなどを用意します。不足しているものがないかしっかり確認しておいてください。
回転姿勢
最終脱皮の前後に回転姿勢という行動を何度かします。お腹を上に向けて寝っ転がるので、すぐにわかります。
ただし、あまり回転姿勢をしない個体もいるので、回転姿勢をしないからといって心配する必要はありません。
産卵直前
産卵直前は卵の形がわかるくらいにお腹がポコポコします。これは産卵前日に撮った写真ですが、かなりわかりやすいです。
産卵
最終脱皮から約30日〜40日で産卵します。母個体の健康状態や栄養の有無により卵の形成スピードが変わるので、場合によっては60日かかった事例もあります。
ほとんどの場合は夕方から朝方にかけて卵を産みます。ボールパイソンの場合、産卵床は特に必要とせず、ペットシーツの上に普通に産みます。
産卵後のメスは卵を抱きかかえるようにしてとぐろを巻いていて、とても警戒心が強いです。卵を取り上げる際は細心の注意を払って行いましょう。
手順1:母蛇を離す
まずは、母蛇の頭からゆっくりトグロをほどきます。
この時、母蛇が暴れて卵が転がってしまうと危険なので、あらかじめ布などで顔を覆い落ち着かせたり、首元を持って保定しておきましょう。
一旦落ち着いてもらうために、卵を産んだケースとは別のケースへ移動しておきます。
手順2:印をつける
卵には胚の向きというのが決まっていて、それを守らなければ孵化しません。そして爬虫類は器用に、正しい胚の向きで卵を産みます。
卵を回収する際は、基本的に向きを変えてはいけません。回収する前にマジックペンなどで上を向いてる部分に印をつけて、万が一転がってしまっても直せるようにしておきましょう。
産みたての卵だと表面が柔らかく、マジックペンで書けなかったり破けてしまう可能性があるので、革のような弾力が出るまで数時間置いてから印を書きましょう。
手順3:保管用ケースへ移す
印をつけたら、向きが変わらないように保管用のケースへ移します。卵の管理に関しては、別途詳しく記事を書いていますので参考にしてください。
母体のアフターケア
長い期間ずっと餌を食べていない上に、出産で体力を消耗しているので、かなり痩せ細ってしまっています。
餌を食べて栄養を補給して欲しいところですが、久しぶりの餌だからといってすんなり食べてくれない個体も多いです。
対策1:卵の匂いを消す
産卵後のボールは、卵の匂いが残っていると餌を食べません。そこで、母体についた卵の匂いを取るために温浴をします。
温浴をしたら、使っていたケージも匂いが残らないように綺麗に洗ってあげます。予備のケージがある場合は、そちらを使った方が良いです。
とにかく、きちんと匂いを消してあげましょう。
対策2:餌の種類を変える
産卵すると嗜好性が変わる個体が多いです。今まではラットを食べていたのに、産卵後はマウスしか食べなくなったり、その逆も然りです。
普段与えていた餌とは違う種類を試してみると、食べてくれることが多いです。
さいごに
最後までお読み頂きありがとうございました。この記事を読んで、ボールラバーズが増えてくれると嬉しいです♪
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